ロールシヤッハ法による双生児の性格に関する研究
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概要
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本研究はロールシャッハ法によって診断せる双生児性格の、卵性別相似度を検討して、性格に働く遺伝環境要因を考察したものである。(1)先ず被験者156名各々の綜合的力動的な性格診断を行い、具体的に対内相似度を考察し、価値ある結果を得た。然し本研究の目的上単にケース診断にとどまることは許されない。 (2)次に性格診断の手がかりとして取りあげた20項目各々における、所定の程度及び型の対内一致度によって、性格の一般的対内相似度を示す比率を算出した。その結果はEZ51.2%、ZZ37.2%、PZ38.6%、CG27.0%である。(3)主な診断項目別にその一致度を見ると、W反応・F+%・M反応・反応総数・平均反応時間・A%・Orig%・把握型は遺伝質による対内一致度が比較的高い。これらの項目から、知的認識的活動の特質、知能の高低、躁或は鬱的気分等がより遺伝的であると類推される。(4)数的に処理出来る主な診断項目10項目についてε及びγ'を計算した。εからLenz氏公式により計算した遺伝力数値は.46〜1.82γ'は.478〜.777を示し、既報クレッペリン作業素質・適応性・道徳的判断の三検査による研究結果(Erbkraft 1.34〜1.45、γ' .476〜.734)と大体同様の値である。然し既報の指紋、身体的特質、知能及び学力、運動能力、特殊性能の結果と比較する時、著しく対内相似度は低い。(5)要するに性格形成に働く遺伝的要因はこれを認めねばならないが、その程度は低く、EZにおいてもγ'はせいぜい.5前後にとどまるものと考える。
- 日本教育心理学会の論文
- 1955-07-15
著者
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