位置関係の変換に関する発達的研究
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概要
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3つ山問題において,大部分の7,8歳児は,人形を基準点にして対象の位置関係を表わす(人形からの基準系を構成する)ことができても,位置関係の変換(人形からの基準系を自己の地点で再構成する)ができないこと,が見出された(中塚,1976,1977)。 本研究では,人形からの対象の位置関係を表わせても位置関係の変換ができない子どもが,どのような位置関係の把握に関する認知水準に達したとき,水準の相違によって,どのように位置関係の変換が異なるのか,を検討した。 被験児は,位置関係の変換ができないもの60名(6:9∼8:7)であり,次の3群に分けられ,実験教育が行われた。 C群-統制のため,人形からの対象の位置関係を表わすだけで,訓練は1日だけであった。 E_2群-位置関係の変換を具体的な空間移動による水準だけで行うため,訓練を2日間行った。 E_1群-位置関係の変換を,はじめ具体的な空間移動による水準で,次に概念的な水準で行うため,訓練を5日間行った。 その結果,E_1群はE_2群より,E_2群がC群より,3つ山問題とそれに類似した課題で,位置関係の変換が促進された。 以上のことから,1)具体的な空間移動によって,2つの基準系を関係づけ基準方向間の関係の変化を把握し,人形からの基準系を再構成することだけでは,位置関係の変換が不十分であった。2)具体的な空間移動のあと,基準方向間の関係の変化を言語的な変換ルールにして把握し,人形からの基準系を再構成すると,位置関係の変換が複雑な課題でも十分促進され,その効果が持続された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1979-09-30
著者
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