西マレーシアの熱帯多雨林における光の強さの三次元的分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 1971年7月と1973年2月に, 西マレーシア・ネグリセンビラン州のパソー保護林にあるIBP研究地域で, 光合成有効日射量および林内相対照度の日変化, 垂直分布, 水平分布に関するくわしい測定を行った. 2. 乾期にあたる1973年2月中旬の光合成有効日射量は, 平均約260cal/cm^2・dayで, その0.4%が地表に透入した. 3. 林内のいろいろな高さでの相対照度の日変化曲線は, 朝やや低く夕方やや高い傾向を示したが, これは測定場所の特性のようであった.また, その変動は直射光照度の変化とマイナスの相関を示した. 4. おなじ高さにおける林内相対照度の頻度分布曲線は, 対数正規分布とよく一致した.したがって, 相対照度の代表値としては, 測定値の幾何平均を用いるのが適当であることがわかった. 5. 林内相対照度の平均値の垂直分布は, 森林の垂直成層構造と密接な関係を示し, 高さ48-55mにある巨大高木の樹冠層, 4-32mの範囲にわたる連続的な高木層, 4m以下の低木層の3層が区別できることを示した.各層内では, 相対照度は高さとともに指数関数的に減少し, 層内の葉面積密度の垂直分布がほぼ一様であることが推定された. 6. 上記各層の直下での平均相対照度は, それぞれ30%, 1%および0.4%であった. 7. 森林内の相対照度の三次元的配列があきらかにされた.
- 日本生態学会の論文
- 1974-12-31
著者
関連論文
- 中央日本温帯林土壌のメタン吸収速度の季節変動
- 大阪南部のアカマツ林の組成と構造
- 8-21 熱帯の劣悪土壌地域における土壌管理方式に関する研究(第1報) : 試験区設定と半年後における作物、林木の生育状態(8.畑・草地および園地土壌の肥沃度)
- 東北タイ, サケラートの熱帯常緑乾燥林の乾季と雨季における相対照度の水平および垂直分布
- 半島部マレーシア, パソーの低地多雨林における土壌中の有機物, 炭素, 窒素その他の栄養元素の集積
- 西マレーシア, パソー多雨林における枯死材の集積と分解
- 落葉広葉樹林伐採後の再生過程における炭素循環の変化 : I.有機物量・炭素蓄積量の変化
- ブナ林の異常分布に及ぼす裏日本気候の影響
- 堺市における土壌の重金属汚染の一年生植物に対する影響
- 半島部マレーシア・パソーにある低地多雨林の群落呼吸
- 東北タイ, サケラートの熱帯常緑乾燥林における乾季および雨季の土壌呼吸
- 堺市における土壌の重金属汚染
- 熱帯多雨林における幹直径の日変動
- 西マレーシアの熱帯多雨林における光の強さの三次元的分布
- 大気中の二酸化炭素濃度に対する陸上生態系の影響(大気中の二酸化炭素)