ススキ共同体と土壤との関係に関する研究
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概要
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この報告は東北大学附属川渡農場に設置されたIBP Areaにおいて, 1967年に調査した成績である.第1報と同様に微地形とススキ共同体の生産力との関係について検討したものであるが, plot 1とplot 2は, 13度の東斜面に設定し, その間隔は238mである.plot 3とplot 4は29°の急峻な北斜面に設け, その間隔は63mである.つまり比較的緩い斜面と急峻な斜面では, どのようにススキ共同体の構造が地上部, 地下部で反応の違いを示すか, また土壌の養分集積はどのようであるかが問題になる.Plot 2は傾斜の低地に位置し, plot 1は高位にあるが, 土壤水分は逆にplot 1が高い.にもかかわらずplot 2が最大の地上部現存量を示した.しかしイネ科の現存量のみについてはplot 1の方がわずかに高い.地下部の深さは各plotとも110cm以上に達しているが, 根の分布様式は地形と土壌養分の分布によって大きく異なる.急峻なところでは地下部は土層の上層部に広く広がって安定性を高めているが, 傾斜の低位では, 下層までのびている.たとえば急峻な個所に設けられたplot 4は, 土壌断面の30cmまでの厚さの中に地下部重量の95.5%が広がっているが, plot 2では86.2%である.そして土壌の3相分布からみると低位にあるplot 2は固相部の比率が小さくて, 液相部が大きいが, 急峻なところや, 頂部では固相部の比率が高く, 液相部が小さい.しかし気相部が全く小さく, 液相部が圧倒的に大きい場合は, ススキ共同体の生産力には悪影響を与えるので, 液相/気相の比率の適値は1.5〜3.5でないかと考えられる.さらに最大の生産量を示したplot 2では, 他区より置かん性の塩基が多く, 前報のようにとくにカリが多い結果を得ている.
- 日本生態学会の論文
- 1969-10-01
著者
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佳山 良正
日本草地学会
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佳山 良正
Faculty of Agriculture, Kobe University and Kobe College
-
矢野 悟道
Faculty of Agriculture, Kobe University and Kobe College
-
矢野 悟道
Faculty Of Agriculture Kobe University And Kobe College
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