戦略的提携における緩やかな連結と組織間知識創造
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概要
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1980年代後半に、新しい経営戦略として戦略的提携が登場した。戦略的提携は、複数のパートナーと連携し、外部から補完すべき経営資源を取り入れ、創造的に環境に適応し、企業成長を図るものである。これまで、研究の多くは、戦略的提携の特性の一つである補完性にのみ注目している。しかし、本論文では、第1に、組織間関係における組織間学習を通した知識創造に焦点をあて、第2に、それと密接な関係を有する緩やかな連結に注目する。戦略的提携において、組織間知識創造は最も重要な役割をもつ。それは、組織間学習が、自己組織化プロセスを内包しており、その自己組織化を通して知識創造を行い、企業は環境との共進化による企業変革を達成できるからである。さらに、いま一つの戦略的提携の特性に、緩やかな連結がある。緩やかな連結は、組織間学習を通した知識創造を促進し、自己組織化を生起させる。そこで、本論文では、まず、戦略的提携の概念、特性、目的を検討した後、戦略的提携における緩やかな連結が生成される背景、ゆらぎとの関係を考察する。さらに、戦略的提携における組織間学習の概念、特性を検討し、緩やかな連結との関係性を明らかにする。そして、組織間知識創造を通じて、企業が自己変革することで、環境と共進化する過程を解明し、考察を加える。最後に、戦略的提携を単なる機械論的な補完のための協調関係と捉えるのではなく、組織間学習の装置であり、計画過程における戦略的提携には緩やかな連結と組織間知識創造を通じた企業変革が生起する大きな可能性が存在することを示す。
- 日本社会情報学会の論文
- 1999-09-30
著者
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