情報化が及ぼす経済・社会の変動
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概要
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日本経済の高度情報化社会への移行は、さまざまな分野の構造変革をひきおこしている。ME技術内包型の生産体系が、ソフトウェア比率の高い商品・市場を生みだすと共に、経済(産業・経営)・社会(教育・政治・宗教・文化など)各分野での相互連鎖的な変革となって現れている。技術革新によるハードウェア対ソフトウェアの価格比の逆転が、情報の産業化・産業の情報化という産業構造の変動をもたらした。そして、第一次産業よりも第三次産業に、血縁・地縁関係性の強い地域共同体型生活よりも職業選択・自己実現の機会の豊富な都市型生活に向け、産業と人口のシフトがつづいている。そのシフトによって既成権威の弱体化と、それに伴う新組織の生成という現象が生じてきているのである。社会構造を規定する基本的な推進力が、産業構造にあると仮定してみる。首都圏一極集中、高学歴化、核家族化などを、産業構造変動の随伴現象としてみなすならば、政治・宗教・教育文化など社会を構成する各サブシステムは、産業構造がもつ誘因によって規定されるという誘因関係性に着目することができる。相互連鎖的変革は、経済・社会をシステムとしてみなし、サブシステムを階層構造でとらえることによって、より明確に把握することができるのである。
- 1995-02-20