ワカを掘る先住民 : 植民地時代ペルーにおける資本主義の拡大と先住民の生存戦略(<特集>世界システム論と人類学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論は, 16世紀半ばから17世紀のペルー植民地時代初期に焦点を当て, 征服者スペイン人がもたらした西欧起源の資本主義経済が先住民社会にどのように浸透し, 拡大していったのかを考察する。その際, とりあげるのは, 貴金属を主体とした副葬品が眠る古代の遺跡の発掘であり, その事業を支えた人々の組織や契約関係の分析を通じて, スペイン人ばかりでなく, 先住民が積極的に参加していく様相を明らかにする。そこでは従来機能していた土着の社会原理や世界観を, 新たに登場し, 強制された資本主義とキリスト教に接合させていく先住民やそれを率いる首長の自律性を提示する。これにより, ウォーラーステインが近代世界システム論で唱えた資本主義の浸透による「伝統的」原理の崩壊という短絡的な図式への批判の一端を示すことになる。
- 日本文化人類学会の論文
- 1999-09-30
著者
関連論文
- Kazuyasu Ochiai (coordinador), "El mundo maya: Mirada japonesa", Merida, Universidad Nacional Autonoma de Mexico, 2006, 250pp.
- ペルー北高地の形成期における食性の復元 : 炭素・窒素同位体分析による考察
- 日本人によるペルーの考古学研究の重要性
- 遺跡観光と先住民蜂起 : 南米エクアドルのインカ遺跡
- 田村克己編『文化の生産 : 20世紀における諸民族文化の伝統と変容4』
- ワカを掘る先住民 : 植民地時代ペルーにおける資本主義の拡大と先住民の生存戦略(世界システム論と人類学)
- 近代ペルーにおける考古学の消費 : 国立博物館の誕生と民族の隠蔽