カナダ・イヌイトの日常生活における自己イメージ : 「イヌイトのやり方(イヌインナクトゥン)」の「戦術」(<特集>自己イメージと抵抗 : 採集狩猟社会を事例に)

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
カナダ・イヌイト社会は, 1950年代の定住化以来, カナダという国民国家に同化・統合される過程で急激な社会・文化の変化を経験してきた。しかし, 今日でもイヌイトは自己のエスニック・アイデンティティを維持し, カナダのドミナント社会に埋没してしまったと思っていない。本稿では, 日常生活においてイヌイトが提示する自己のエスニック・イメージに焦点を当て, カナダのドミナント社会への同化・統合を経験してきた今日のイヌイトが, その同化・統合の波を受け入れながら, 自己の肯定的なエスニック・アイデンティティをいかに維持しているのかを探る。そして, 日常生活の中でイヌイトが描く自己のエスニック・イメージが, 多様な変化や新しい要素を吸収して増殖してゆく柔軟性に富んでおり, 同化・統合すらも自己のエスニック・アイデンティティを肯定的に構築するために利用してしまうような「ブリコラージュ的戦術」の道具として, 機能しているのではないかという仮説を提示する。
1998-09-30

著者

関連論文

もっと見る

スポンサーリンク