殺虫剤削減による土着天敵の働きを活かした北海道でのジャガイモのアブラムシ類防除
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概要
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北海道のジャガイモ栽培におけるアブラムシの吸汁害(=ワタアブラムシによる)を想定した殺虫剤削減の可能性を検討するとともに, アブラムシ用殺虫剤であるアセフェート水和剤によるワタアブラムシのリサージェンスの原因をドライフィルム法を用いた薬剤感受性の違いから考察した.ワタアブラムシのアセフェート感受性は, 他のアブラムシ類(モモアカアブラムシ, ジャガイモヒゲナガアブラムシ)および捕食性天敵(ナミテントウ, コヒメハナカメムシ)に比べて低かった.このことから, 本種のリサージェンスは天敵からのエスケープおよび競争種の排除が原因で生じているものと推察された.ジャガイモ圃場で5年間調査したところ, 殺虫剤を無散布としてもワタアブラムシが多発することはなく, また顕在化する害虫の発生もなかった.その結果, イモの収量・デンプン価は殺虫剤散布区と比較して低下しなかった.ジャガイモ圃場近辺にはテントウムシ類などの土着の捕食性天敵が各所に生息しており, ジャガイモのアブラムシ抑制のための天敵供給源は広範にあると考えられた.また, 殺虫剤無散布の有効性は札幌の他に喜茂別町, 清里町でも確認された.
- 2005-02-25
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