ニンジンにおける非対称細胞融合によるペタロイド型CMSの導入
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概要
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ニンジンのぺ夕ロイド型細胞質雄性不稔(CMS)を非対称細胞融合を用いて,可稔系統に導入する実験を行った.融合には,X線を照射したニンジンのCMS系統,31Aを細胞質供与体として,ヨードアセトアミド処理した5つの可稔系統をその受容体として用いた.この融合実験から58個体が再分化したが,ぺタロイドの花をもつ個体は全く得られなかった(Table1).すなわち,すべての再分化個体は,可稔または褐変化した菊をもつ雄性不稔であった.そこで,ぺタロイド型の花をもつサイブリッドを作出するために,31Aと可稔系統K5の間の融合処理によって得られた褐変化した霜をもつZ1を細胞質受容体に用いて,X線を照射をした31Aのプロトプラストと融合した.この非対称細胞融合により41の再分化個体が得られ,花を着けた.このうちの39個体はペタロイド型の雄蕊をもつCMSで,2個体は褐変化した菊をもつ雄性不稔だった(Fig.1).染色体の核型とミトコンドリアDNAの制限酵素分析結果(Fig.2,Fig.3,Fig.4)から,得られた再分化個体はすべて,Z1に由来した核をもち,又両親とは異なる再編成した形のミトコンドリアをもつことが分かった.これらの融合産物に見られるぺタロイド型の雄性不樹生は,K5を含む可稔系統との交配の後F1及びF1B1世代に母性遺伝した.以上の結果は,ペタロイド型CMSが2段階の非対称細胞融合を使うことによって,他のニンジンの系統に効率良く導入することが可能であることを示す.
- 日本育種学会の論文
- 1991-03-01
著者
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