『大学図書館の業務分析』 : 日本の大学図書館における専門的職務と非専門的職務の分離の試み
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概要
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『大学図書館の業務分析』(以下, 『業務分析』と略す)は, 英国及び米国の図書館における職務分離の動向を踏まえて, 日本の大学図書館向けに作成された職務区分表である。『業務分析』は, 全国国立大学図書館長会議(国立大学図書館協議会の前身)の司書職制度に関する特別委員会が作成し, 1968年に, 日本図書館協会から出版された。本稿の目的は, 『業務分析』の作成過程と日本の図書館界へのその影響を明らかにすることである。そのため, 『業務分析』と関連文献の計44件を収集・分析し, 更に, 『業務分析』の原案立案者である岩猿敏生氏から立案経緯を伺った。研究の結果, 以下のことが明らかになった。1)『業務分析』の意義は, (1)大学図書館の業務内容の明確化, (2)大学図書館業務の高度な専門的特質の明確化である。2)『業務分析』の限界は, (1)具体的な利用方法が整備されなかったこと, (2)非専門的職務の担当者とその経過措置が明らかにされなかったこと, (3)改訂作業が行われなかったことである。3)当時の図書館界は, 図書館学研究と図書館学教育が未成熟であり, 『業務分析』の受入基盤が欠如していた。4)『業務分析』は, 日本の大学図書館業務の全体像を提示した唯一の職務区分表であり, 図書館業務の在り方を考える基礎資料となり得るものである。
- 日本図書館情報学会の論文
- 1998-03-30
著者
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