オウトウ品種・系統の裂果感受性に及ぼす果実表皮細胞径および果肉硬度の影響
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概要
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オウトウの裂果抵抗性品種・系統を明らかにするとともに, 裂果感受性に関係する要因を明らかにするために, 甘果オウトウ37, 酸果オウトウおよび酸果オウトウとPrunus pensylvanicaの雑種それぞれ1, 計39品種・系統について水浸漬法による裂果程度, 裂果率および水の吸収率と果実重, 果肉硬度, 果頂部, 赤道部, 梗あ部および縫合線部における表皮細胞の縦径および横径との関係について検討を行った.裂果程度および裂果率は水浸漬後時間の経過とともに上昇したが, 品種・系統による差異が認められた.すなわち, 'Turkey Black Heart', 'Jumbonishiki', 'Okitama-6', 'Ebony', 'Venus', 'Valera'などの品種・系統は裂果程度, 裂果率とも小さな値を示したが, 'Napoleon', 'Van', 'Compact Lambert', 'Vic'などの品種では著しい裂果が認められた.果実重, 果肉硬度, 果実の表皮細胞の縦径および横径にも大きな品種間差異が認められた.水浸漬12時間後の裂果程度と果実重, 果肉硬度, 果頂部の表皮細胞縦径および横径との間には, それぞれr=0.664, 0.515, 0.649, 0.515と有意な正の相関が認められた.また, 同じく12時間後の裂果率は果実重, 果肉硬度, 果頂部の表皮細胞縦径および横径との間でr=0.718, 0.503, 0.763, 0.669とそれぞれに有意な正の相関が認められた.このことから, 裂果感受性には果実重, 果肉硬度とともに表皮細胞の大きさ, 特に果頂部の細胞の大きさが強く関係していると考えられた.吸水率は, 果肉硬度, 果頂部表皮細胞の縦径との間で有意な正の相関が得られた.裂果率, 裂果程度と測定項目間の重相関係数を算定したところ, 全測定項目との間で78.8, 69.0%の高い寄与率が得られた.また, 果実重, 果肉硬度, 果頂部縦径との間でも70.7, 57.3%の高い寄与率が得られたことから, これら3つの測定項目により裂果の感受性を推定することが可能であると考えられた.また, 28品種系統について裂果程度, 裂果率, 吸水率の年次間の相関をみたところ, それぞれr=0.885, 0.880, 0.706と有意な高い相関が得られたことから, 本試験で行った水浸漬法による裂果程度の判定が有効であると考えられた.
- 2002-11-15
著者
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