オウトウ果実の中果皮細胞数および細胞径の品種間差異と年次変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
甘果オウトウの果実サイズの品種間差異に関わる要因を明らかにするために,甘果オウトウを中心に56品種系統について,果実重,中果皮の細胞数および細胞径を3年間にわたって測定した.また,日本のサクラ野生種および中国オウトウについても,同様の項目について測定を行った.さらに,幼果期の果実重の差異や摘花処理が中果皮細胞数に及ぼす影響について検討を行った.いずれの測定項目も大きな品種間差異が認められた.果実重は果実側径および果肉厚さとの間で有意な高い相関を示した.果実重と中果皮細胞数,細胞径の相関係数は,それぞれ0.611〜0.706,0.488〜0.599と年により変動したが,細胞数の数値がいずれの年次においても大きかった.また,年次間の相関係数は果実重で0.897〜0.931,中果皮細胞数で0.826〜0.847,中果皮細胞経で0.493〜0.674であり,細胞径の数値が他の2つに較べて明らかに低かった.野生種の果実重は栽培品種に較べて著しく小さく,中果皮細胞数および細胞径は栽培品種の半分程度の数字となった.これらの結果から,オウトウの果実重の品種間差異には中果皮細胞数と細胞径の双方が影響を及ぼすものの,細胞数はより強い影響を及ぼし,より安定していることが判明した.幼果期の果実の大ささや,摘花処理が中果皮細胞数に及ぼす影響は小さく,本研究で用いた細胞数の判定方法が有効であると推定された.
- 2004-01-15
著者
関連論文
- トルコ共和国における核果類およびリンゴ遺伝資源の共同調査収集 (海外探索収集調査報告)
- 甘果オウトウ'高砂 (Rockport Bigarreau)'および'日の出 (Early Purple)'の S 遺伝子型の決定
- 甘果オウトウ'高砂(Rockport Bigarreau)'および'日の出(Early Purple)'のS遺伝子型の再評価
- (16) 山形県で発生したオウトウの芽枯れ症 (東北部会)
- セイヨウナシ新品種'山園P1号'
- オウトウ果実の中果皮細胞数および細胞径の品種間差異と年次変動
- オウトウ品種・系統の裂果感受性に及ぼす果実表皮細胞径および果肉硬度の影響
- オウトウの果実発育に伴う外果皮細胞の肥大牲性の品種間差異
- オウトウ品種の育成 (特集 果樹育種の指定試験地を巡る)