イチゴ属の種間交雑 Fragaria x ananassa × F. vesca における花粉の発芽異常および胚の発育停止と交雑不和合性の関係
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概要
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栽培種Fragaria x ananassa (8x)を子房親, 野生種F. vesca (2x)を花粉親とした種間交雑における雑種そう果および実生獲得率が低い理由を明らかにするため, F. x ananassa 'Honeoye'× F. vesca '長森'(中国吉林省長白山で採集)の受粉後の花粉発芽と花粉管伸長, 受精および種子形成過程を種内交雑'Honeoye'×'宝交早生'を対照として観察した.種間交雑では, 受粉した10花中6果が着果し, 303粒の発達したそう果, 167の実生個体が得られ, そのうち84個体が雑種, 83個体がアポミクシス個体であった.種間交雑においては柱頭上の花粉発芽数が少なく, 花粉管伸長に異常が多く観察された.また, 胚と胚乳が正常に発達した像のほかに, 受精が遅延した像や胚が球状胚で発育を停止している像が観察され, これらの異常胚の胚珠には胚乳が形成されていなかった.以上の結果から, F. x ananassa × F. vescaの種間交雑で生じる交雑不和合性には, 花粉発芽の異常, 花粉管伸長の異常, 胚乳不形成による胚の発育停止が原因として関係していると考察した.未熟胚の培養は種間交雑における雑種獲得率を向上させる有効な手段であると考えられる.
- 園芸学会の論文
- 2000-01-15
著者
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