クリ黒根立枯病の発生と土壌環境
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概要
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黒ボク土壌および赤黄色土壌におけるクリ黒根立枯病の発生と根の量および土壌環境について実態調査を行い, さらに土壌の種類によるクリ実生の生育の違いについて検討した.1. 褐色森林土壌地を地形改造し, 赤黄色土壌が畑面になったクリ園では黒根立枯病の発生が多いのに対して, 黒ボク土壌では明らかに少なかった.2. 黒ボク土壌では赤黄色土壌に比べて1mm以下の細根が多かった.3. 土壌の3相分布は赤黄色土壌では黒ボク土壌に対して, 固相容積が大きく, 気相容積が小さかった.また年間土壌水分張力は赤黄色土壌では変動が大きかったのに対して, 黒ボク土壌では小さかった.4. 鉢試験の結果, 黒ボク土壌では赤黄色土壌に比べて直径5mm以下の根量が多く, 特に菌根量が著しく多かった.5. これらの結果から, 黒ボク土壌ではクリは細根が多くて吸水力が高まる上, 土壌水分の変動が小さいため, 体内の水分ストレスが高まらず, 黒根立枯病の発生が抑えられると推察した.
- 1999-03-15