綾里における1976〜1994年の降水の酸性化

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概要

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岩手県綾里における1976年から1994年までの, 日本で唯一の長期的な降水観測データを化学的な観点から解析し, 降水の酸性化およびその要因について調べた.降水のpHは, 1976年にpH5.3であったが, この19年間でpH4.5〜4.8の範囲へと低下し, 降水の酸性化が明らかになった.この酸性化の要因は, 大気汚染物質である二酸化硫黄と窒素酸化物が変換した硫酸と硝酸の増加であり, 特に硝酸の寄与が徐々に増加していた.環境庁が全国規模で行っている降水観測の1994年のデータと比較すると, 綾里における同年の降水のpH4.8は, 全国平均のpH4.8と同じであった.また, 綾里の硫酸イオン, 硝酸イオンやアンモニウムイオンの濃度と沈着量を全国規模でみると, いずれも低いレベルに属していた.しかし, カルシウムイオンのそれらは, 全国平均と同じレベルであった.
社団法人日本気象学会の論文
1998-05-31

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