冬季季節風卓越時の北陸沖に形成された渦状擾乱の構造の解析 : 1995年2月5日啓風丸特別観測の事例解析
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概要
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1995年2月5日午後, 若狭湾沖で特別観測を行っていた啓風丸の近くを渦状擾乱が南東進した. この渦状擾乱について, 主に啓風丸の資料を用いて解析を行った. 渦状擾乱は水平スケール約100kmで, 700hPaより下層の擾乱であった. そして, 約半日前に北陸地方の沿岸を東北東進した渦状擾乱と2つで, 1つのメソαスケールの擾乱を形成しており, 上方には上層の擾乱が位置していた. 渦状擾乱は温暖前線, 寒冷前線の様相を示すシアーラインを伴っており, 温帯低気圧に似た構造をしていた. 啓風丸の10分間隔の海上気象観測値によると, これらと別のシアーラインが検出できた. シアーライン通過時の観測値の変化やレーダーエコー分布は「Tボーン構造をした温帯低気圧」に似ていた. なお, 海上風は渦状擾乱後面のシアーライン通過後が最も強く, その強風は下降してきた寒気によるものと考えた.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1997-04-30