近畿地方の広域海風に関する数値実験
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概要
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紀伊水道沖から大阪平野・播磨平野へ吹く近畿地方の広域海風を理解する目的で数値実験を行った.モデルは東西,南北おのおの310kmをカバーし,四国東部と日本海,伊勢湾を含んでいる.この地形を様々に変えることによって,広域海風に対してどの地形がどのような役割を果たしているかを明らかにした.その結果,次のようなメカニズムで広域海風が形成・強化されていることが分かった.まず日本海からの風系と瀬戸内海(大阪湾・播磨灘)からの風系が近畿の中央部で合流することによって,この循環系の強度,スケールがともに大きくなり,広域海風が形成される.紀伊水道の高圧部は,局地的な海風に対する紀伊山地と剣山地の「障壁効果」で,山のない場合より高くなる.一方,広域海風の下流は「障壁効果」のない大阪平野,播磨平野なので,気圧傾度は増加する.このため広域海風は強化される.また紀伊山地・剣山地からの山風も広域海風と同風向に吹くので,広域海風は見かけ上強く見えることになる.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-01-31
著者
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