コシヒカリおよびその姉妹品種の主要特性の由来に関する研究: II.姉妹品種の諸形質とくに品質・食味の品種間差異について
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概要
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コシヒカリおよびその姉妹品種に農林1号を加え,施肥条件を異にした場合の諸形質,とくに品質・食味の品種問差異と類縁関係を明らかにしようとした。その結果,農林1号は増肥によって茎数や葉面積指数が増大した割合に乾物重の増加が少なかった。このことはうっぺいによって茎葉が徒長軟弱とたり,いもち病の発生や倒伏を助長したことによるものと考えられた。一方,コシヒカリおよびその姉妹品種はこうした現象が比較的少ないことから,乾物生産能力が,いもち病抵抗性とともに農林22号から導入され,耐肥性を高めていることがうかがわれた。玄米形質や携精歩留りは,増肥により各姉妹品種とも低下するが,その程度はいずれも農林1号より少ないことから,これらの特性についても農林1号以外の親の影響がうかがわれ,第1報の結果から農林22号の特性がより多く伝えられていることが推定された。食味は増肥によって品種間の差が小さくなったが,標準区・多肥区を通じコシヒカリが最も優れ,ハツニシキとヤマセニシキがやや劣った。テクスチュロメーターの各特性値と,食味の官能検査による総合評価との間に相関関係は認められなかった。しかし,コシヒカリは標準区・多肥区とも各特性値が優れ,官能検査の総合評価も優れていることから,その食味は農林1号以外の現品種およびそれぞれの系譜をさかのぼった現品種から集積されたのではないかと推測された。玄米の蛋白含有率は増肥によって各品種とも増加するが,その程度は高蛋白性品種ほど増加率が高かった。コシヒカリは蛋白含有率が最も低い昆種として,一方,ホウネソワセ・ハツニシキ'農林1号だとは高蛋白性品種として区分できた。しかし,玄米の蛋白含有率と食味の官能検査の総合評価およびテクスチュロメーターの各特性値の問には、相関関係は認められなかった。
- 日本育種学会の論文
- 1978-09-01
著者
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