コシヒカリおよびその姉妹品種の主要特性の由来に関する研究 : I.生育特性および品質・食味の由来について
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概要
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コシヒカリおよびその姉妹品種の主要特性の由来を明らかにするため,これらの品種の育成過程における主要特性の選抜経過を取りまとめて先に報告した(石墨1976)。一方,これら姉妹品種の育成に関連した品種を純系淘汰によって育成された品種にさかのぼって栽培し,主要特性を調査し,さらに玄米の品質および食味について,官能検査による評価ならびに理化学的な検討を行なった。その結果,過去数10年間にわたる品種改良によって,極長稈から中稈へ,穂重型から穂数型へと重心を低くして倒伏抵抗性を強めるとともに,受光体制を整えることによって穂重歩合が高くなり,収量性を高めてきたことがわかった。さらに,品質は一段とすぐれる方向に改良されているが,食味は基本品種の良食味を伝えているにとどまり,良食味を集積して一段とすぐれた方向に改良されたとは推定し難かった。また,高蛋白性を森田早生から農林1号を経て,ホウネソワセやハツニシキに伝えていることを再確認するとともに,低蛋白性は朝日から農林8号へ,さらに,農林22号を経てコシヒカリに伝えていることが推定された。しかし,低蛋白性と良食味の関係を見出すことはできなかった。
- 日本育種学会の論文
- 1977-09-01
著者
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