水稲におけるエチレイミン感受性と籾型突然変異の誘起について
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概要
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切型の著しく異なる水稲品種を供試してエチレンイミン処理による感受性の品種間差異および処理後代における切型に関する遺伝的変異について検討した。EI処理に対する各品種の生存率は濃度が高くなるにしたがい低下すると同時に品種間に明らかだ差があり,CenturyPatna(C型長粒種)>Arborio(B型大粒種)>Amonoquilli(A型短粒種)の関係がみられた。M_2の葉緑素突然変異の出現頻度については各品種とも0・3%区よりも0・5%区の方が高い値を示したが品種間差があり,EI感受性の高いが最も高いAmonoquilliが最も高い出現頻度を示し,EI感受性と葉緑素突然変異の出現頻度との問に正の相関が認められた。一方,微小突然変異を対象とした選抜実験の結果,M_2における籾の長さと幅の頻度分布型はいずれの品種とも無処理区の理論頻度分布と比較的よく一致していたが,主として籾長において理論頻度分布から正および負方向に外れる個体が認められた。供試品種の処理区において籾長と籾幅に関する分散の増大と平均値の偏りがみられたことからEI処理により微小突然変異が生じていることが推定されたが,その大きさや方向性については品種により異なった。また,分散の増大と平均値の偏りは籾長と籾幅でその傾向を異にしており,籾長と籾幅がそれぞれ異なった遺伝的支配を受けていることを示唆していた。籾長と籾幅の間の相関係数はほとんどの処理区で正の有意性が認められた。M_13でCenturyPatnaとAmonoquilliの処理区に見出された可視突然変異体はいずれも長さが減少しているのに対して粒幅は増大していた。可視突然変異体については変異個体の数が少ないので変異の方向性についてははっきりしたことは断定できないが,いずれの変異体も籾長と籾幅が相伴って変化し,かつ逆方向への変化を示したことは注目された。
- 日本育種学会の論文
- 1976-09-01