カイコにおける繭収縮率の選抜ならびにその解じょ率への影響
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概要
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繭収縮率を多くの原種について測定し,その遺伝性を調べるとともに,繭収縮率について3世代にわたり選抜試験を行ない,次の結果を得た。1)収縮率は蚕品種によって相違するが,この品種間差異は遺伝的変異に由来する。 2)収縮率は地理的品種により相違し,日本種>支那種の傾向にあった。 3)繭長と繭幅とにおける収縮率を比較すると,日本種では繭幅>繭長の関係を示したが,支那種では両形質間に差異がみられず,収縮率は繭形と密接な関係を有するものと考えられる。 4)親子回帰の方法によりF_2集団の繭収縮率の遺伝率を推定したところ,0.15〜0.46の値を示した。 5) 3世代にわたる収縮率の個体選抜では収縮率は系統により相違し,顕著な選抜効果が認められた。 6)収縮率の選抜にともない,解じょ率も顕著に変動し,収縮率の低い方向へ選抜した系統が最も高い解じょ 率を示した。 7)以上の結果から,収縮率の選抜は解じょ率の品種的改良の一手段になるものと推論される。
- 1975-06-30