給桑量を異にした栄養環境下におけるカイコの競争および計量形質の選抜効果
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概要
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カイコにおける給桑量と育種効果との関係を究明することを目的とし,飽食飼育,飽食飼育の1/2および1/3の給桑量の3栄養条件のもとで,繭重,繭層重をそれぞれ20%および14%の選抜強度で数世代にわたり選抜し,給桑量とカイコの競争との関係,各世代における給桑量の諸形質に及ぼす影響ならびにその選抜効果について調査し,次の結果を得た。1)給桑量の制限により個体間変異は拡大されたが,その程度は形質により相違し,繭重では変異は小さかったが,繭層重では顕著であった。2)制限給桑飼育によりカイコの個体問で競争が起り,その結果最的形質の変異は個体間で拡大されるものと推論した。3)制限給桑飼育は当代ではカイコの成長に著しく影響し,諸形質を低下させたが,その影響は繭層重>繭重>経過日数>繭層歩合>生存率の順位で相違した。4)制限給桑飼育は夏蚕期のような高温多湿で葉質の劣る環境とは相乗して,形質を著しく低下させた。5)制限給桑飼育を行なって繭重および繭層重について数世代選抜を行なった後代においてその効果を比較したところ,飽食飼育により同様に選抜継代された対照系統との間に差異は認められなかった。6)幼虫の経過日数,生存率,産卵数,食下量,消化量,消化率,生糸量歩合,繭糸長などについて,後代における制限給桑の影響を調べたが,飽食飼育により継代された対照系統との間に差異はみられなかった。
- 日本育種学会の論文
- 1974-10-31