イネにおけるγ線,中性子の照射後貯蔵と複合照射の影響
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概要
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高エネルギー放射線による障害の回復能を知る目的で、γ線,、中性子の照射後貯蔵と複合照射の実験を行なった。農林8号の気乾種子を用い、障害の度合は播種後2週間目の芽生長によって比較した。貯蔵効果についてはγ線19、38krad、中性子1.5、2.6kradを照射した種子を直後に播種(0日)の外、10、20および30日間貯蔵後播種して実験を行なった。γ線19kradの10、20日区は0日区の89、80%と障害度が増大し、30日区では91%と回復し、38kradではこの傾向が著るしかった。中性子でも同様の現象がみられ、0日に対し97、87%と10、20日の貯蔵で障害が増大し、30日では91%と回復した。すなわち障害の変動はγ線では顕著であり、また中性子でも度合は小さいが障害の増大、回復が起りうるといえる。複合照射実験はγ線9.5krad照射直後に中性子を0.7および1.3krad照射したものと、逆に中性子0.7および1.3kradを照射直後にそれぞれにγ線9.5kradを照射したものについての芽生長を調査した。無処理に対すを比はγ線前処理が66、64%となったのに対し、中性子前処理では87、79%であった。すなわち中性子後処理の方が影響が大きい。これは貯蔵実験の結果と同じく、エネルギーの低いγ線の障害の回復能は高エネルギーの中性子のそれより大きく、従って中性子後処理では、γ線による回復可能な障害も阻害された結果と考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1973-06-30
著者
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