稲における草型の遺伝的変異の分析 : 2.遺伝的草型の季節による変化
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概要
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種々の生産形質と草型における遺伝子型・栽培季節相互作用による変異を、国際稲研究所で1964年の雨期作と乾期作に栽培したPeta×I-g-tのF_3系統のデータによって研究した。前報(森島など1967)に述べたように、草型の遺伝的変異の2つの軸、αとβは、ポリジーンによる遺伝相関から得られた主要成分ベクトルの「単純構造」への回転によって求められた。α軸は「穂数型」と「穂良型」の間の変異を、β軸は「節間長型」と「節間数型」との間の変異を示すものである。分散分析の結果から、葉と茎の形質、また草型のαおよびβ数値では遺伝子型・季節相互作用による分散は著しく大きく、それらの季節反応は遺伝的に支配されることが認められた。各形質の季節による変化の程度は、反応指数R=X^^→_<wet>-X^^→_<dry>/X_<wet>+X^^→_<dry>(%)によって比較した。草型の季節による変化については、遺伝的変異の軸αおよびβに沿って起るものと、軸それ自身の変化とを区別して考えた。ポリジーンと季節の相互作用による形質組合せの変異は、αおよびβ草型数値の季節的変化によって、その大部分が説明されることが認められた。したがって、αおよびβ数値の季節による変異の程度から、異なる季節における生育の安定性を推定した。季節適応性と収量性とについての選抜が、遺伝的草型を基準として用いることにより同時に行われ得ることが結論された。
- 日本育種学会の論文
- 1967-12-25
著者
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森島 啓子
遺伝研
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森島 啓子
国立遺伝学研究所
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岡 彦一
国立遺伝学研究所
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森島 啓子
National Institute of Genetics, Misima, Japan
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岡 彦一
National Institute of Genetics, Misima, Japan
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張 徳慈
International Rice Research Institute, Los Banos, Philippines
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張 徳慈
International Rice Research Institute Los Banos Philippines
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