世代促進温室におけるイネの自然交雑
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概要
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世代促進温室で2〜3世代を経過させたイネ雑種集団の後代系統の固定度は,形質により予測したほど向上しない。また,品種を用いた混植実験においても,その次代に異型個体の出現がみられた。これらの原因を究明するため,世代促進温室におけるイネの自然交雑率を,稔性の異なるもちうるち品種を組みにして,作期や密度等の条件をかえて栽植し,2か年にわたりキセニヤの発生率から調査した。その結果,キセニヤの発生率は作期や密度,組み合わされた品種等により0〜93%と大きく変動した。キセニヤの発生はもち品種の不稔歩合よりうるち品種の不稔歩合が低い場合に多くみられた。また,概して組み合わされた品種との不稔歩合に大きな差を生ずる作期で,密植した場合に多くのキセニヤの発生がみられた。このことは,冷害により花粉に異常が起こり不稔が発生したり,近くに稔実の差の大きい品種が栽植されるほど自然交雑率が高まるという,従来の結果と一致する。したがって,世代促進温室内でみられる自然交雑の主因は,低温や密植等の不良環境による花粉形成の異常によると考えられた。世代促進条件下の雑種集団内で起こる自然交雑は,それがかなりの頻度であれば遺伝子の組み換えの機会を多くし,不利な連鎖を破る育種手法として利用できるものと考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1980-09-01
著者
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