サフランカルスからの効率的な器官再生について
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概要
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サフラン(Croccus sativus)の育種的利用のために、組織培養による効率的なカルス経由の再生系を検討した結果、植物ホルモンと培養温度を組合せると効率的に再生できることが判った。市販サフラン(サカタのタネ)の球根を常法どおり滅菌し、2,4-D(D)とゼアチン(Z)のホルモン組成のMS培地でカルス誘導した。このカルスは同培地で3回継代し完全な脱分化細胞とした。効率的な再生には2つの方法があり、第1の方法は以下の通りである。3代目のカルスを2,4-D 1mg/lの液体培地に移植し回転培養を行う、そうするとこのカルスはバラバラにほぐれ、それぞれが器官的な小球塊となった。この小球塊はそのまま継続して液体培養することもできるが、さらにMS(N 0.1、BA 1)もしくはMS(N 1、BA 3)の培地に移植すると、液体・固体を問わず小球塊の肥大化が見られた。この肥大球塊を同じ組成の固体培地に置き25℃暗所で3ヵ月培養すると組織表面に苗条の発生が見られた。なお、Nとは1ナフタレン酢酸、BAは6ベンジルアミノプリンであり略号の後の数字の単位はmg/lである。第2の再生の方法は、同じく3代目のカルスをMS(N 0.1、BA 1)もしくはMS(N 1、BA 0.1)という組成の培地に置き15℃もしくは20℃で培養すると、前者の大部分、後考の一部で3ヵ月後くらいから脱分化カルスの表面が、滑らかだがごつごつした器官的組織となった。この組織はその後緑化し、畜条となったり一部が根化するに至った。両方法とも再生してきた苗条は15℃明所で肥培中である。
- 日本育種学会の論文
- 1988-09-01
著者
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