糖飢餓によるイネ単離花粉の分裂の誘導
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概要
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採取当日の単離したイネの未熟花粉の分裂が,糖を含まない培地で短期間培養する「糖飢餓」法によって誘導できることが明らかになった.この場合,従来用いられてきた花粉単離前の菊の前培養や低温処理を必要としない.日本型イネ品種日本晴の穂を葉耳間長5〜10cmの時期に採取し材料とした.採取当日に,無菌的に取り出した霜から花粉を遊離し,ナイロンメッシュ筋を用いた粒子サイズによる分画とパーコール不連続密度勾配遠心法により37-50μmの粒子サイズかつ35%パーコール溶液より比重の軽い花粉分画を得た.得られた花粉分画は,糖を含まない培地[R2無機塩類(2.0mM NaH_2PO_4を0-2.0mM KH_2PO_4に置換),B5ビタミン類,O.5mg/l2,4-D,pH5.8]に懸濁しO〜7日間培養した.糖飢餓条件下での培養後,ショ糖を最終濃度5mMになるように添加し培養を続けた.得られたコロニーはショ糖添加後28日目に再分化培地に移植し再分化を図った.単離未熟花粉の分裂を誘導するためには,培養開始時に糖飢餓を施すことが必須であった.糖飢餓の最適期間は3日間であった(Table1,Fig.1).また,培地中のKH_2PO_4濃度は1.0mMが最適であった(Fig.2).最終的に,KH_2PO_4 1.0mMを含む培地中で,糖飢餓を3日間行った時,コロニー形成頻度が最も高くなり,その頻度は0.04%であった.得られた200個のカルスを再分化培地に移植したところ,18個のカルスから植物体が再生した.うち3カルスからは緑色個体が再生したが,残りの15カルスからの再生個体はアルビノであった.
- 日本育種学会の論文
- 1994-03-01
著者
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