全球赤道海域の海面水温にみられる経年変動の経度変化
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概要
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海面水温(SST)の経年変動の経度変化を1949-97年の49年間について全球赤道海域(5°N-5°S)において診断的に明らかにした。170°E以東の中東部太平洋では、平均SSTは29℃以下、SSTの経年変動は大きく、強い大気海洋結合が認められる。この大きな経年変動分散域には、160°Wと90-100°W付近にさらに2つの極大域があり、後者では38-47ヶ月周期変動(LF1)が主に、前者ではこのLF1と51-68ヶ月周期変動(LF2)が等しく貢献する。また18-32ヶ月周期変動(BO)寄与は、どちらの経度においてもLF1、LF2程ではないが大きい。さらに詳細に、この領域では、QB、LF1では西向き伝播が、LF2では東向き伝播が卓越するという周期による違いが明らかにされた。強い大気海洋結合は、この3つの周期変動それぞれに確認される。インド洋から170°Eまでの西太平洋赤道域では、平均SSTは28℃以上、SSTの経年変動は小さく、経年変動スケールでの強い大気海洋結合は認められない。インド洋から太平洋全域にかけての領域で、SSTの上記3周期変動それぞれに、まず太平洋域で170°Eを節にした定常振動、そしてインド洋の変動が中東部太平洋の変動に数カ月遅れるという位相関係が認められた。大西洋での平均SST、経年変動分散の経度変化パターンは、インド洋から太平洋にかけてのそれと類似している。この領域でのSSTの経年変動は、概して中東部太平洋の変動に対し遅れる傾向にあるが、細かいQB、LF1、LF2変動にはこれ以外の共通の位相構造は認められない。大西洋赤道域では経年変動スケールでの大気海洋結合は弱い。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2000-08-25
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