東太平洋における赤道対流圏中層の東風ジェット
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概要
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NCEP-NCARによる40年間の高層再解析データによって、赤道太平洋における循環を再検討した。このデータから赤道対流圏中層の東風ジェット(EMTEJ)を発見した。このジェットの存在は、ガラパゴス上空のゾンデデータによっても支持される。EMTEJは、赤道付近にある舌状の低海面水温域に支配された対流圏下層の層厚分布に由来する、赤道上の対流圏中層トラフに伴って形成される。EMTEJは、赤道に沿った東西循環の一部をなす。この循環は西部から中部太平洋における上昇流と対流圏上層での東への風の流出と、東部太平洋における対流圏上層への西からの風の流入と対流圏中層での下降流からなり、EMTEJは西部太平洋における上昇流をまかなう主要な要素となる。対流圏下層部は、ほとんどこの循環に関係しない。南方振動の高/寒期に比べると、低/暖期には対流圏上層部での収束および中層部での下降流の減少に対応して、EMTEJは弱くなる。EMTEJの存在は、古典的な太平洋におけるウォーカー循環モデルとは異なっている。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-06-25
著者
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Hastenrath Stefan
Univ. Wisconsin Madison Usa
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Hastenrath Stefan
Department of Atmospheric and Oceanic Sciences University of Wisconsin
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