ノーマルモード関数展開を用いたECMWF, NMC, JMA全球解析データのエネルギー比較解析

概要

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本研究では, 1986年から1994年までの9年間の冬季のECMWF全球解析データを用いてノーマルモード関数展開によるエネルギー解析を行ない, 同様のエネルギー解析を1988/89年の冬季のNMCとJMAの全球解析データについても行ない比較した. この解析法により全球データはロスビーモード成分と重力モード成分に分離されるので, それらのエネルギースペクトルを3次元スケールパラメータの関数として解析し, 過去の研究結果と比較した. ECMWFの9年間のデータの解析結果から, 3次元スケールパラメータに対するロスビーモードのエネルギースペクトルの傾きは鉛直モード0〜4に対しそれぞれ2.2, 2.1, 3.5, 5.0, 5.5という結果を得た. 一方, それに対応する重力モードのエネルギースペクトルの傾きは-1.8, -1.7, -1.6, -1.3, -1.0であり, それぞれ3乗則, -5/3乗則と比較された. また, 本研究の結果から, ロスビーモードと重力モードのエネルギースペクトルは, 少なくとも傾圧成分については連続的につながっていると判断された. 1988/89年冬期についてのJMA, NMC, ECMWFの相互比較解析の結果, 各々の解析値のロスビーモード成分のエネルギーレベルに見られる差は8%以下であった. 一方, 重力モード成分のエネルギーレベルはJMA, NMC, ECMWFに対しそれぞれ51.7, 47.9, 44.4 (10^3Jm^<-2>)であり, 解析値間の差異はやはり8%以下であった. 以前の研究では, GFDLとECMWFによるFGGE再解析値に含まれる重力モードのエネルギーレベルがそれぞれ90と41 (10^3Jm^<-2>)であり大きく差が出たことを考えると, 今回の解析の結果, JMA, NMCの値はECMWFの値に極めて近いことが判明した. つまり, 大気中に含まれる重力モード成分のエネルギーの総量は45 (10^3Jm^<-2>)程度であり, その量は大気の全エネルギー(運動エネルギーと有効位置エネルギーの和: 6800×10^3 Jm^<-2>)の0.7%程度であることが示された.
社団法人日本気象学会の論文
1996-08-25

ノーマルモード関数展開を用いたECMWF, NMC, JMA全球解析データのエネルギー比較解析

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