北半球の100-10hPaの気温と高度場のトレンド
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1964年から1993年にかけての下部成層圏には負の気温トレンドがある。しかし、10年規模の大きい変動もあり、トレンドの傾きはその10年変動のどの時点に時系列の始まりと終わりを取るかによりかなり異なる。これらの変動はオゾンのような気温に依存する量のトレンドに影響する。例えば、30゜N以北の1979年と1990年の間のTOMSで計ったオゾンの急激な減少は気温の同様な急激な低下の時期に起こっているが、より長い期間を取ると気温トレンドはTOMS観測とはかなり異なっている。したがって最近のオゾンの変化はより長い期間のオゾントレンドを代表するものとはいえない。30km以下の成層圏の負の気温トレンドは、夏のすべての緯度と初冬の極域で50hPa(オゾン最大の高度に近い18-20km)にピークを持つ。これはモデルが予測するCO_2増加に伴う成層圏での最大の気温降下の高度と対照的である。1月には正のトレンドは30hPa以上の北極域で始まり、翌月以降対流圏界面まで降りてくる。温度風の関係から極渦域での西風はこの期間上部から弱くなる。このトレンドパターンは成層圏の昇温の発達過程に似ている。10-12年規模の成層圏高度場の変動は太陽定数と良い相関があり、下部成層圏高度の全体的なトレンドは半球平均の地上/対流圏気温の上昇と似ている。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1994-10-25