定常傾圧波動における3次元ラグランジュ運動の実験的観測
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
気象学や海洋学の問題に深く関係している定常傾圧波動におけるカオス的ラグランジュ運動について, 菅田・余田(1994)は波動を再現する数値模型で流体粒子を長時間追跡して調べた. 彼らの結果を実験的に確かめるため, 半径方向に温度差が与えられた回転流体で再現される定常傾圧波動内に浮遊させたトレーサー粒子の3次元軌道を長時間観測する実験をした. ここではこれまでに得られた4つの軌道を紹介する. 波数5の波動では, 数値模型から期待される起こり易い領域間遷移を含む経路が含まれている. この事は, 菅田・余田によって提唱された熱輸送のラグランジュ的観点を支持している. 即ちジェット流は外側の境界層から沢山の暖かい流体粒子を吸収し, それらを内側の境界層に放出する. そのとき, 流体粒子の温度は蛇行するジェット内においてほとんど一定である. さらに, 数値シミュレーションで起こってない流体粒子の領域間遷移が一例みつかったのは大変興味深い. しかしながら, 波数4の波動では流体粒子が長時間ジェシト流内に閉じ込められているのが観測された. これは, 熱輸送について一般に認められた観点に導く. 即ち, ジェット内の流体粒子は外側の境界層から熱を受取り, それを内側の境界層に放出する. 従って, 流体粒子の温度は蛇行するジェット内において変化する.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1997-02-25
著者
関連論文
- レース用ソーラーカー『テラーリ』の製作
- Strange Flow of a Backflowing Jet-Stream
- 回転円筒水槽内の流れと温度分布の立体的観測
- 最適混合撹拌方法予測装置の開発・
- E-122 傾圧波動と安定成層の間の相互作用の実験的観測
- Laboratory Experiments to Study Upward Propagation of theStaning Tropospheric Waves into the Stratosphere
- ハドレー流の流れ場の観測
- 定常傾圧波動における3次元ラグランジュ運動の実験的観測 : その2
- 3次元ラグランジュ軌道長時間観測のための蛍光染料マイクロカプセル
- 定常傾圧波動内の3次元ラグランジュ運動の実験的観測
- 定常傾圧波動における3次元ラグランジュ運動の実験的観測
- 回転円筒水槽実験における定常傾圧波の渦の構造の観測
- 定常傾圧波におけるラグランジュ運動の実験的観測-その2-
- 定状傾圧波におけるラグランジュ運動の観測
- 定常傾圧波におけるラグランジュ運動の実験的観測(その2)
- 定常傾圧波におけるラグランジュ運動の実験的観測(その1) : 渦の内部構造
- 29a-G-2 回転円筒水槽実験における定常傾圧波の渦の構造の観測
- 回転円筒水槽実験のためのインク注入器
- 定常傾圧波動のラグランジュ運動を調べる実験 : 渦の内部構造
- Apparatus with double turn tables in rotating fluid experiments
- A345 回転水槽実験でのベータ効果の研究(A-34 大気の流れ(4),一般講演)
- 31a-G-4 定常傾圧波におけるラグランジュ運動の実験的観測(31aG 応用数学・力学・流体物理,応用数学・力学・流体物理)