西太平洋上の2日周期積雲対流擾乱の発生機構について
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概要
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赤道太平洋上においてMadden-Julian振動(MJO)の対流活発気に雲活動の準2日変動が観測される。本論文では、その成因となりうる機構を提案する。この仮説は、以下の知見に基づいて立てられたものである。(1) MJOの中に東進する「スーパークラスター」が埋め込まれており、スーパークラスターは雲クラスターの集合体である(Nakazawa 1988)。(2) スーパークラスターからは雲活動活発域が放出されて西進する(Nakazawa 1988)。この西進する雲活動域は、スペクトル特性から準2日変動の慣性重力波と推定されている(Takayabu 1994a)。(3) MJOの活発期において、総観スケールより小さいスケールの変動は日周期を含む時間スケールで励起を受けている(Hendon and Liebmann 1994)。ここでは慣性重力波がスーパークラスターの雲群(envelop)中の対流活動から発生していることを前提とする。すると、スーパークラスターの東進速度の大きさが西進慣性重力波の速度の大きさに近いことから、スーパークラスターと共に東進する日周期の強制は2日周期の西進慣性重力波に射影することになる。本仮説の基本的な力学について、線形浅水波モデルを日変化する定在/東進質量源で強制した実験によって解説した。さらに、高解像度衛星画像を用いて仮説の検証を行なった。観測的結果は仮説の確認に十分とは言えないが、少なくとも、観測される準2日周期変動の起源の一部は、我々が提唱する機構によるものと考えられる。
- 1997-08-25
著者
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Hendon H
Univ. Colorado Colorado Usa
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Liebmann Brant
Cdc コロラド大学
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Liebmann Brant
CDC, コロラド大学
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Hendon Harry
CDC, コロラド大学
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Glick John
CDC, コロラド大学
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Glick John
Cdc コロラド大学