赤道域下部成層圏におけるケルビン波の活動性と準2年周期振動
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概要
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ここでは赤道域下部成層圏におけるケルビン波の活動性の長周期変動に関する観測結果を示すとともに、簡単なモデルを用いてそのメカニズムの理解を試みる。シンガポール(1N,104E)におけるゾンデ観測データを用い、1974年から1988年の15年間にわたって解析をおこなったところ、ときおりケルビン波にともなうと考えられる約2週間の周期性を持った変動を東西風および温度場に見ることができる。ケルビン波の活動性(ここでは約2週間の周期帯で積分したパワースペクトル密度で定義した)は、明らかに下部成層圏の東西風に見られる準2年周期振動(QBO)と関連して変動している。30mb付近では、東西風のQBOが急速に東風から西風に変わるときケルビン波の活動性が活発になる。この観測結果を理解するために次のような考え方にもとづいて簡単な計算をおこなった:すなわち、ケルビン波にともなう運動量フラックスは局所的に一定で鉛直群速度に反比例するような減衰を受ける。この計算では、月毎にケルビン波の振幅を見積もるため、観測された月平均東西風データを用いた。計算結果はQBOと関連したケルビン波の活動性の長周期変動をよく再現している。もなうと考えられる約2週間の周期性を持った変動を東西風および温度場に見ることができる。ケルビン波の活動性(ここでは約2週間の周期帯で積分したパワースペクトル密度で定義した)は、明らかに下部成層圏の東西風に見られる準2年周期振動(QBO)と関連して変動している。30mb付近では、東西風のQBOが急速に東風から西風に変わるときケルビン波の活動性が活発になる。この観測結果を理解するために次のような考え方にもとづいて簡単な計算をおこなった:すなわち、ケルビン波にともなう運動量フラックスは局所的に一定で鉛直群速度に反比例するような減衰を受ける。この計算では、月毎にケルビン波の振幅を見積もるため、観測された月平均東西風データを用いた。計算結果はQBOと関連したケルビン波の活動性の長周期変動をよく再現している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-02-25
著者
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