即席乾燥米飯の劣化臭
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1)市販即席乾燥米飯製品から採取した乾燥α化米の匂いに対する官能試験の結果,一部試料に,本品特有の劣化臭が認められた。また,即席乾燥赤飯とベビーフード用乾燥米粥の一部にも,包装後の保存時に発生したと推測される劣化臭が認められた。(2)劣化臭が認められた試料の脂質の過酸化物価は,142〜309 m equiv./kgと高く,劣化臭と含有脂質の過酸化物価の間には因果関係が認められた。ただ,乾燥α化米の製造方法により様相は異なると推測された。(3)レトルト殺菌済み透明パウチ包装の米飯製品にも,脂質の酸化が進んでいるものを認めた。(4)炊飯式熱風乾燥α化米(ウルチ米)の既存試験の結果,24,34そして44℃,1〜2ヶ月で少量含有する脂質の過酸化物価は著しく上昇し,過酸化物価の上昇に伴い,本品特有の劣化臭が発生した。(5)本現象の抑制には,真空包装,脱酸素剤の封入,そして抗酸化剤の添加がいずれも有効であった。特に,脱酸素材の封入と,抗酸化剤の添加が最も効果があり,脂質の過酸化物価の上昇をほぼ完全に防ぎ,かつ,劣化臭の発生も防ぐことが可能であった。
- 日本調理科学会の論文
- 1991-08-20