鹿児島県に於ける水稲早期栽培の前作菜種について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鹿児島県の水稲早期栽培の作付面積は,現在750町歩で,その殆んどが沿海島〓地帯にあり,その約60%が湿田である。県では防災営農確立の為,水稲早期栽塘の積極的な普及奨励を行っているから,其の際,本県の地勢,気象並に台風被害程度等を勘案して,次の三地帯に区分している。(1)A地帯,沿海島〓地帯,年平均気温17度以上,標高50m以下の地域で台風害の最も烈しい地帯。(2)B地帯,年平均気温16度〜17度位,標高50m以上100m以下の地域で台風害の甚だしい地帯。(3)C地帯,年平均気温16度以下,標高100m以上め地域で,台風害の比較的軽い地帯。此の分類によるとA地帯は積極的普及奨励地帯で,B地帯は各種條件を検討の上,集団展示的に実施し,その効果を確認する地帯,C地帯は未だ試験的段階の地帯下ある。現在の推定では,来年度,大略3,000町歩に増反の見込みであるが,早期栽培の効果の大きいこと及び最近の台風害が烈しい点からして,.今後の趨勢ではA地帯は勿論,B地帯にも防災営農対策としてだけでなく,更に土地の高度利用と地力培養の観点から水稲早期が大巾に導入されるのではないかと予想される。水稲早期を取り入れた場合の作付体系叉は前作物には種々な型叉は作物があるが,その一つとして菜種が考えられる。特に,麦の価格の低落が伝えられる今日では,農家としては,緑肥のレンゲに次いで,価格的に比較的有利な菜種を取り入れる作式が導入され易いのではないかと思われる。そこで,この水稲早期前作菜種の品種及び栽培法の問題点に就いて,若干の検討を試み度いと思う。
- 日本作物学会の論文
- 1957-03-00