統計調査からみたわが国水稲作の地域性について : 第1報 水稲作の地域区分
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概要
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水稲の地域区分を明確にし,その特異性を明らかにすることは,品種の育成や栽培の技術の点から極めて重要である。そこで水稲作の実態面からわが国水稲作の地域区分を試みた。その結果,つぎのようなことが明らかとなった。(1)わが国の水稲作は,寒地型と暖地型の2つの地域に大別される。寒地型には,北海道,東北,北陸および長野,千葉の13道県が属し,暖地型には関東(除干葉),甲府,東海,近畿,中国,四国および九州の33都府県が属する。(2)2つの地域のうちで,寒地型では北陸3県,暖地型では四国,近畿の瀬戸内に面した8府県が特異な動きを示している。この原因としては,自然条件のほか,社会的・経営的ないろいろの条件が関与している。(3)年次的な推移をみると,寒地型では青森県が昭和32年頃を境に,近年安定した多収を示しているのが注目される。これは最近冷害が少なかったこともあるが,寒冷地稲作技術の進歩による点が大きい。(4)暖地型では,北九州の佐賀,福岡,熊本3県が,昭和37年以降寒地型に似た動きを示している。これは,ホウヨクなど短稈穂数型品種による密植多肥栽培が,広範囲に普及したことが大きくえいきようしている。
- 日本作物学会の論文
- 1966-06-20
著者
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