酒米たかね錦の品質向上に関する研究 : とくに施肥量・施肥法について
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概要
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長野県内の酒造好適米たかね錦は, 従来収量本位に多肥栽培が行なわれてきた。近年たかね錦に対し低心白, 高蛋白の品質低下が指摘されたため, 栽培技術の改善を目標に安定多収を基として, 良質酒米生産のための窒素施肥量・施肥法について検討した。1.穂数・m^2当り全籾数は, 基肥・穂肥の多いものが多く, 特に穂肥の影響が大きかった。登熟歩合も同様で, m^2当り全籾数が多くなると低下し, 実肥の多いものは高くなった。2.玄米収量は, 全籾数と登熟歩合が関係し, 基肥では9>12>6(kg/10a)で, 穂肥および実肥の影響は6>3>0と施肥量が多いほど多収の傾向を示した。3.心白発現率は, 穂肥・実肥の影響を大きく受け, 特に実肥が多くなると発現率が高まった。また心白発現率は千粒重と正の相関が認められた。4.玄米粗蛋白含量は, いづれの時期も施肥量が多くなると高まり, 実肥の増加による影響が顕著であった。粗蛋白含量と心白発現率の間には正の相関が認められた。5.以上の結果から施肥量, 特に穂肥・実肥の量を多くすると千粒重や心白発現率は高まり, 増収した。しかし酒米適性として好ましくない玄米粗蛋白含量の増加が認められ, 検査等級も低下し, 品質の面で相反した結果となった。6.良質安定生産の面から, 収量650kgを目標に, 基肥6kg+穂肥3kgとして, 粗蛋白含量8%以下にすべきであろう。
- 日本作物学会の論文
- 1978-03-16
著者
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