湛水前の土壌乾燥が土壌窒素の無機質化量に及ぼす影響の定量的把握

概要

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水田の土壌窒素供給量の年次変動の要因として湛水前の土壌乾燥に着目し、湛水前の土壌水分と湛水後の土壌窒素無機化量との関係を調べた。結果の概要は以下のとおりである。1)土壌を乾燥させていくと、土壌に固有のある限界水分値(K点)以下で乾土効果が発現した。K点の含水比は細粒質土壌では26%~33%、中粗粒質土壌では16~18%であったが、その脱水強度はpF4前後であった。2)K点以下の水分に土壌が乾燥すると、土壌水分の減少に比例してNH_4-N生成量が増加し、両者の間に直線回帰式が成立した。この回帰式の勾配は、湛水後の地温の高低、窒素肥料や稲わら施用の影響をほとんど受けなかった。3)乾土効果の発現は15℃以上の有効積算温度に換算して150~210度・日まで完了した。4)土壌を乾燥後、10℃前後で4週間湿潤畑状態で前培養した後、湛水培養を行うと乾土効果の発現量は畑状態前培養を行わない場合に比べて20%前後減少したにすぎなかった。以上の結果から、乾土効果発現量の年次変動が湛水前の土壌乾燥程度からあらかじめ予測できることを明らかにした。
1988-12-05