フランキア13-3-2株の菌学的特性とオオバヤシャブシに対する接種試験
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概要
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1)オオバヤシャブシ根粒より分離したフランキア 13-3-2 株の菌学的特徴は次の通りである. (1)形態的性状;液体培地中および寒天培地上で分岐を有する基生菌糸に胞子を形成し,気菌糸は観察されなかった.胞子のうは苺形ないし短円筒形で,そのなかに数十個の胞子を含有していた. (2)化学分類学的性状;ジアミノピメリン酸はメソー型,特徴的糖類は,キシロース,ガラクトースおよびラムノースを含有し,燐脂質は PI 型で,メナキノンは MK_9(H_4), MK_9(H_6) および MK_9(H_8)が検出され,ミコール酸は検出されなかった. (3)培養性状;各種液体および寒天培地において,基生菌糸および可溶性色素は灰色を帯びた黄褐色を呈していた. (4)生理学的性状;酸素の要求性は微好気性で,生育温度は中温性であり,メラニン色素は,生成せず,各種窒素源および炭素源の資化性を有していた. 2)フランキア 13-3-2 株の接種試験 (1) オオバヤシャブシの根粒着生率は窒素濃度によって変化し,窒素濃度 0〜2 mM と窒素濃度が高くなるにつれて,70,50 および 20% と著しい低下を示した. (2) オオバヤシャブシの根粒着生は pH 3.6 以上で認められ, pH 4.0〜pH 9.3 の範囲においては根粒着生率は 100%であった. (2)ポット栽培植物に対するフランキア 13-3-2 株の接種試験 (1)バーミキュライト栽培したオオバヤシャブシではフランキアの接種により,すべての個体に根粒を着生し,非接種区に比べて著しく良好な生育を示した. (2)滅菌土壌に栽培したオオバヤシャブシでは,接種フランキアの接種により高確率で根粒が着生し,植物体は良好に生育した.非接種区の植物体には根粒着生が認められず,植物体は葉が黄変して明らかな窒素飢餓症状を呈した.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1994-08-05
著者
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