畑地における土壌中陰イオン含量(C1^-,NO_3^-,SO_4^<2->)の垂直分布
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概要
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畑地土壌の陰イオンの垂直分布の圃場の利用形態別および土壌類型別に明らかにするため,栃木県内の233地点の畑地から採取された324点の土壌の0.01M NaOH抽出性および水抽出性陰イオン含量を分析し,次の結果を得た.1)黒ボク土の0.01M NaOH 抽出性陰イオン含量は作土層から耕盤下層までCl^-およびNO_3^-に比べてSO_4^<2->が最も高く,またSO_4^<2->含量は下層ほど高い傾向であった.この傾向は普通畑,樹園地および草地で共通であった.各層の0.01M NaOH抽出性陰イオン総含量は普通畑>樹園畑>草地の順であった.2)非黒ボク土の普通畑および樹園地の各層の各0.01M NaOH抽出性陰イオン含量は黒ボク土に比べてかなり低かった.非黒ボク土・施設の各陰イオン含量は他の非黒ボク土の他の利用形態に比べてはるかに高く,また表層ほど高い傾向であった.3)非黒ボク土の水抽出性陰イオン含量はCl^-, NO_3^-, SO_4^<2->ともに0.01M NaOH抽出性含量と同水準で,陰イオンは液相中に分布すると考えられた.一方,黒ボク土の水抽出性Cl^-およびNO_3^-含量は0.01M NaOH抽出含量と同水準であったのに対し,水抽出性SO_4^<2->含量は0.01M NaOH抽出性含量に比べてはるかに低く,固相に存在する割合が大きいことが明らかとなった.4)非黒ボク土・施設の土壌溶液中SO_4^<2->およびCa^<2+>の活動度積は石膏の溶解度積に達していると推測された.SO_4^<2->およびCa^<2+>の濃度の上限値は非黒ボク土では石膏の溶解度に,一方,黒ボク土では土壌固相との吸着平衡に支配されていると推察した.5)0.01M NaOH抽出性SO_4^<2->含量はリン酸含量の低い土壌で高い傾向があり,リン酸の蓄積によってSO_4^<2->吸着が影響されているものと推察した.6)調査対象土層内の0.01M NaOH抽出性SO_4^<2->存在量は年間施用推定量の,黒ボク土では10.4〜16.8年,非黒ボク土・露地では1.3〜3.9年相当量,またNO_3^-存在量は施用推定量に対し,黒ボク土では0.4〜0.7年,非黒ボク土・露地では0.1〜0.4年相当量であった.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1994-06-05
著者
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