火成性パイライト酸化による酸性硫酸塩土壌の生成と鉄・イオウ細菌

概要

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新潟県入広瀬村において,露頭を被覆した土壌が1980年夏に急激に酸性化した。この酸性化機構に関する調査・研究の大要を下記に示す。1)露頭内部にパイライトの小粒子がみられるので,この酸性がパイライトの硫酸への酸化に起因したことは,ほぼ確実である。なお,露頭下の岩盤に約2〜5cmの大型結晶が存在した。2)多数の鉄細菌が酸性硫酸塩土壌で計測され,隣接した弱酸性土壌中にも少数の鉄細菌が生存していた。3)培地中のパイライト粒子の酸化速度は分離した鉄細菌の接種により著しく増加した。酸化生成物の酸性カチオンは3価鉄イオンと水素イオンであり,溶液中の塩基性カチオンである2価鉄は,30℃,30日間のインキュベーションで完全に3価鉄に酸化された。4)1〜5μmのパイライトの細かい粉末を酸性土壌と混和し,畑状態水分条件下で60日間,30℃で保温した。パイライト酸化は10日間でおおむね完了し,硫酸生成量の増加に伴ってpHは3.8から2.5まで低下した。有機栄養性細菌の数は2日目にピークに達し,急激に低下した。一方,糸状菌数の大きな変動は認められなかった。無機栄養性の鉄細菌は1gあたり10^4から10^8に増加したが,イオウ細菌の増加は鉄細菌よりも少なかった。
1986-06-05