土壌中のFusarium oxysporum f. sp. raphaniに対する拮抗菌

概要

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前報において、Fusarium oxysporum f.sp. raphani (F. o. r.)はきゅう肥施用土壌中で生育が抑制されておこり、その一因がグラム陰性細菌によることを明らかにしていた。そこで、本報告ではF. o. r. に対する拮抗菌の分布を、土壌の種類、土壌構成成分、団粒に注目して研究した。得られた結果を要約すると、1)化肥区に比べ、F. o. r. の拮抗菌数、漸近数に締める拮抗菌数の割合はいずれもきゅう肥区土壌で高かった。また、完熟きゅう肥からはほとんど拮抗菌が計測されなかった。2)化肥区土壌に生育するF. o. r. 拮抗菌のほとんどが放射菌であったのに対し、きゅう肥区土壌ではグラム陰性拮抗菌が全体の約2割を占めており、その多くはPseudomonas属の細菌と同定された。3)土壌中に施用されたきゅう肥の分解に伴って拮抗菌がきゅう肥塊中で増殖し、その菌数はきゅう肥塊の粒径が低下するにつれて増加した。4)F. o. r. 拮抗菌数は、粒径の小さな団粒ほど、また団粒内部に比べ外部に多く生育していた。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1991-02-05