きゅう肥連用土壌のFusarium oxysporum f. sp. raphani抑制機構
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概要
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ダイコン萎黄病 Fusarium oxysporum f. sp. raphani (F. o. r.) はきゅう肥連用土壌中で生育が抑制される。そこで本報告においては、F. o. r. の土壌中での生育に及ぼすきゅう肥とその原材料の効果、F. o. r. 生育抑制物質の土壌中での動態、さらにF. o. r. 拮抗微生物の性質、につき検討した。得られた結果を要約すると、1)F. o. r. の小型分生胞子を2枚の0.2μmまたは0.8μmのNucleopore フィルター間に接種し土壌に埋設したところ、その菌糸伸長は0.2μmに比べ拮抗性細菌との直接接触の可能な0.8μmのフィルターを使用したとき抑制されたいた。しかし、この直接接触の影響は、きゅう肥区と化肥区の土壌の相違に比べ小さなものであった。2) きゅう肥区におけるF. o. r. の抑止機構を明らかにするため、稲わら、未熟きゅう肥、完熟きゅう肥のF. o. r. に対する生育抑制効果を調べたところ、稲わらには促進効果も抑制効果もみられず、他方、未熟きゅう肥、完熟きゅう肥のいずれもきゅう肥区土壌同様F. o. r. の生育を著しく抑制した。また、完熟きゅう肥の水抽出液はF. o. r. の生育を抑制したが、化肥区およびきゅう肥区土壌の水抽出液では全く抑制効果が認められず、きゅう肥区土壌のF. o. r. 抑止法ときゅう肥区の抑止法とは異なる要因によるものと推察された。3) きゅう肥のF. o. r. の生育抑制効果の一因はその高いECにあると判断された。4)きゅう肥区土壌の抑制効果は、土壌の特定部位で生産された極微量のF. o. r. 生育抑制物質がF. o. r. の生育部位に運ばれて作用するもので、その活性を示す有効範囲はきわめて狭いものと推察された。5)ストレプトマイシン(抗細菌性タンパク質合成阻害剤)、バンコマイシン(抗グラム陽性菌性細胞膜成分合成阻害剤)をきゅう肥区土壌に添加した実験より、きゅう肥区土壌におけるF. o. r. の生育抑制にグラム陰性細菌がおもに関与していると判断された。
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1991-02-05
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