「ぶどう」の収量実測調査 2〜3 の事例
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概要
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43, 44年の2か年に亘り, 果房数の予測方法として, 一園および一樹を対象とした研究と, 平均一果房重の予測方法および果房の規格別検見より一園の収量を推定する方法について, 研究調査を実施し次のことが判明した。(1) 一園を対象とした果房数の予測方法について, 棚坪方式により任意の調査マス目(枠)の果房数から一園の果房数を推定する方法として枠間果房数の分散からランダムサンプリングの標本数は, 確率68%精度10%として10a当り4m^2区画で6か所調査すればよい。1m^2区の場合はかなり標本数が必要となるので, 標本調査は4m^2を調査基準とした方がよい。(2) 一樹を対象とした果房数の予測方法について, 任意または特定の主枝および亜主枝の果房数からの推定方法を検討した。その結果主枝については樹によってその代表性がまちまちであり実用的でない。次に亜主枝については, 調査対象となる亜主枝数およびその選び方について検討した結果, 着生順位から代表性を求める方法は樹によってはかなり認められたが, 仕立方, 樹令品種などにより相違があり普偏性がなく一般化することは難しい。(3) 平均一果房重の予測方法について, 収穫始期, 盛期, 終期の3回任意に果房重を調査して検討した結果, どの圃場もほぼ類似した分散が得られ, 収穫時期別では盛期の分散が最も小さかった。次に果房の型状から平均一果房重の予測が可能か検討したところ, 特に果房の長さ×肩巾の積と果房重の関係が高く予測に利用できそうである。なお, 収穫前において早期に果房重の予測を目的とし, 果房の肥大追跡調査を行なった。その結果開花期後35日頃の果房の容積重と収穫期の果房重との関係はかなり高い相関を示したが, 実用化には問題がありそうである。以上平均一果房重予測方法として種々検討したが, 検討したのはキャンベルアーリ1品種の成績であり品種の相違などについて今後更に検討したい。(4) 果房の規格別検見調査について, 標本抽出調査に規格別果房数を検見調査をして, 収量を簡易に算出しようと調査検討をしたところ, 事前に房の規格別検見に熟練すればかなり精度が高く実用化されそうである。(5) 以上2ケ年の結果から, ぶどうのように棚作り栽培で平面果樹については柵坪調査で実施すべきであると思われる。なお, 収穫時における調査マス数および果房数については, 確率68, 精度10%の場合の調査枠数, 果房数は下表のようになる。[table]
- 日本作物学会の論文
- 1972-03-25