北海道水稲品種における障害型冷害による食味特性の低下
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概要
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北海道農業試験場の水稲作では1986年には早生品種, 1987年には中晩生品種を中心として障害不稔が多発し, これらの品種において食味の低下が認められた. 障害不稔と食味低下の因果関係を調べるために, 両年次において普通水田および長期冷水掛流し水田に栽培した13〜31品種・系統の白米についてアミロースおよびたんぱく含量ならびに官能試験による食味を調べた. 不稔発生の顕著な品種・系統は官能試験による食味が通常の評価より低く, たんぱく含量も高かった. これらの品種・系統は不稔発生が軽微な品種に比べてアミロース含量が低く, 食味低下とアミロース含量とは関係が小さいものと考えられた. 長期冷水掛流し法に基づく低温処理により人為的に不稔を発生させるといずれの品種・系統においてもたんぱく含量が増加した. しかも低温ストレスが大きく, 不稔程度が大きい場合ほどたんぱく含量は高い傾向にあった. このように障害不稔多発による食味低下の主因はたんぱく含量の増大とみられ, これは出穂前に貯えられた稲体窒素が出穂後の稔実粒に分配される場合, 稔実粒数が少ないほど1粒当たりの窒素分配量が多くなり, その結果たんぱく含量が増大することによるものと考えられた. 今後の良食味育種の基本としては穂ばらみ期耐冷性の強化が欠かせないものと考える.
- 日本作物学会の論文
- 1993-06-05
著者
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