混植された稲の品種間相互作用に及ぼす栽植密度の影響
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概要
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混植における品種間相互作用を抵抗力, 侵略力, 競争効果, 協同効果としてとらえ, さらに, 密度効果および混植と密度の交互作用を推定し, 栽植密度が混植された稲の品種間相互作用に及ぼす影響を検討した. また, 混植が生長様式に及ぼす影響を2次のロジステイク生長曲線を用いて検討した. 混植区は Hungは単植区より乾物を増加し, 混植区のIR667は単植区より減少したが, 混植によるIR667の形質変動は Hungのそれよりも大きかった. HungはIR667より密度効果が大きく, Hungは密度の増減に対して形質を変化させやすい品種といえる. IR667の混植密度相互作用(y)は穂重, わら重, 1穂重, 稈長で大きな負の値を示した. このことはIR667の抵抗力は疎植下よりも密植下でさらに弱くなることを意味している. IR667の競争効果は穂長, 稈長を除く4形質で負の値を示し, その程度は疎植区より密植区で大きかった. 協同効果は大部分の形質において負の値を示したが, その程度は形質により, また密度によって異なった. 単植区においてIR667とHungはともに密植区で播種後80日まで, 疎植区で70日まで同様な乾物増加の推移を辿った. その後, 密植区ではIR667が, 疎植区ではHungが大きな乾物増加を示した. 混植区におけるIR667の乾物増加は密植区で播種後60日以降, 疎植区で70日以降に単植区より著しく抑制された. 単植区に比べ混植区のIR667の乾物重が減少した時点で, Hungの乾物増加は認められず, その約20日後にほじめてHungの乾物増加が認められた. 密植混植区において, IR667の最大生長率および高い生長率持続日数は密植単植区の値より低下した. 一方, Hungの最大生長率は単植区とほとんど変らなかったが, 高い生長率持続日数は1.5倍になった. 疎植混植区では, IR667の最大生長率は低下したが, 高い生長率持続日数は単植区とほとんど変らなかった. 一方, Hungの最大生長率は単植区に比べ1.5倍に, そして, 高い生長率持続日数は2.5倍になった. この結果から, 混植によって影響される生長パラメーターは品種および密度によって異なり, 混植による増加や減少は単純な損得関係に支配されているものではないことが推察された.
- 日本作物学会の論文
- 1982-03-20
著者
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