中央タイの浮稲および非浮稲品種,系統の第2葉身長の比較
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概要
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浮稲の幼苗検定に資する目的で,浮稲と非浮稲の苗の形態的な比較を行ったところ,第2葉身長に差が認められたので,多数の品種について検討した. タイ国中央部で蒐集され,同国農業及び協同組合省農業局稲作部に保存中の品種,80を用い,バンコックの網室内ポット栽培により播種後7日目の第2葉身長を比較した. 浮稲品種は20〜45mmであり,通常の水稲品種が30〜55mmであるのに較べて,短かい傾向を示した. 浮稲は浅水条件でも倒伏し易く,倒伏程度につきデータの得られた60品種の比較において,浮稲性(品種記録による),倒伏程度(浅水条件),第2葉身長の3者の間には有意な相関が認められた. 稲作部で育成中の浮稲と非浮稲の交配のF_4ないしF_6の系統178と比較品種12の計190につき,池を用いた深水検定による浮稲性程度(深水抵抗性程度)と第2葉身長の相関を調べたところ,r=-0.554(d.f.=188)なる有意な相関がみられた. 第2葉身長が,稲のタイプによって異る原因について,(1)何らかの生理的な理由,(2)稲生態型の分化に伴って起きた遣伝的な機会変動の二つが考えられる. (1)に含まれる内容として植物生長調節物質のレベルの問題も推測され,今後検討を要する点である.
- 日本作物学会の論文
- 1979-06-30
著者
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