アイソザイムパターンと塩類耐性の解析による台湾のZoysia属の遺伝的変異(Plant Prod. Sci. VOL5, NO3 和文要旨)
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概要
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台湾および膨湖島周辺の沿岸地域より採集したZoysia属(Z. matrella および Z. sinica)182個体を材料として用いた.採集した材料を台中に移植し,移植後3,4ヶ月後にエステラーゼおよび酸性ホスファターゼによるザイモグラムを決定した.エステラーゼによるザイモグラムでは26のバンドと108のパターンが,酸性ホスファターゼによるザイモグラムでは9つのバンドと12のパターンがそれぞれ検出された.ユークリッド距離解析に基づくデンドログラムにおいて,東岸の北部(EN,主に石灰岩からなる)より採集したクローンは,他の5つの地区から採集したものに比べて長い距離を示した.Z. matrellaとZ. sinicaの地理的分布は異なるにもかかわらず,これら5つの地域からのクローン間におけるデンドログラムの距離は短かった.これはおそらく,Zoysia属の高い種間交雑能力によるものであると考えられる.さらに,EN地区からのクローンは2種のアイソザイムパターンにおける多様性は小さく,カルシウムによる防御のために塩分に対する適応性は低かった.アイソザイム分析の結果,台湾のZoysia属の遺伝的変異には,分類上の位置付けよりも生息地の環境要因に対する個々の種の適応性がより関連していると結論される.
- 日本作物学会の論文
- 2002-09-05
著者
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